私はミリシタの3Dモデルがとても好きだ。すっきりしたデザインでありながら、52人のアイドルの特徴を明確に表現し、それぞれのアイドルを魅力的に描き出していると思う。
魅力的な52人のアイドルを生み出したミリシタであるが、運営開始から4年目に革命がおこった。SHSの登場である。アイドルの命ともいうべき髪型を大胆に変更し、アイドルのさらなる魅力をひきだすことに成功した。さらには今後ペアガシャで髪の色も変更されることが明らかとなっている。
髪型が変更されても、髪の色が変更されても、春香は春香である。では3Dモデルとしての春香のアイデンティティはどこにあるのだろうか(リボンという説は置いておくことにする)。ここでは、アイドルの「目」にデザインとしてのアイデンティティがあると仮定することとした(アイドルヒーローズジェネシス Justice OR Voiceでは、敵である「ネメシス」側のアイドルの目が赤く染まるが、これは例外としておく)。そして、目の特徴を調査することで、それぞれのアイドルの特徴を明確化できるのではないかと考え、調査を実施した。
アイドルの目のデザインを調査するため、まず目の画像を収集した。目の画像は、グラビアスタジオで背景をブランニューシアターに設定し、アイドルが正面に見えるようにカメラ位置を設定してキャプチャした画像を使用した。杏奈のOFFモード画像は、ドレスアップモードで画像をキャプチャした。収集した画像の一覧をに示す。
なお、以下の議論において使用する、目の各部の名称はのように定めた。
の画像から調べた目の特徴のうち、睫毛の本数と虹彩の色(虹彩の色はカラーピッカーで調べたが、画像に含まれるノイズのため、多少のばらつきが生じており、正確ではないことに注意のこと。例として、亜美と真美の色が異なっているが、本来は同じ色になるはずである。)をにまとめた。なおのアイドルの名前の色はキャラカラーである。
キャラカラーと虹彩の色の関係を把握するため、それぞれの色相をプロットした結果をに示す。プロットが対角線上に乗った場合は、キャラカラーと虹彩の色相が一致したことになる。
グラフを見ると、キャラカラーと虹彩の色相が一致または類似したアイドルはそれほど多くなく、キャラカラーと虹彩の色は相関が低いことが分かった。また、キャラカラーが緑～青系統(色相500～600)のアイドルは、虹彩の色が赤～黄(色相350～400)に設定されているケースのほうが多いことが確認された。したがって、大多数のアイドルについては、キャラカラーと独立して目の色が設定されたと考えられる。
奈緒の目は、上フレームラインに細いラインが追加されており、これは他のアイドルにない特徴である。奈緒はアイラインをしっかりと引いているようである。
昴の目には下フレームラインがなく、これは他のアイドルにない特徴であり、見た目にもかなり違った印象を受ける。
下睫毛があるアイドルは、ジュリア(OFFモード)、紬、歌織の3人である。この3人は、アイドルの基本並び順で最後の3人であるが、並び順と下睫毛の有無がどのように関連しているのかは不明である。紬と歌織はミリシタ参加組であり、他アイドルとの差別化のために下睫毛がついた可能性が考えられる。
紬の目はほぼ直線で構成されており、非常に四角い。歌織の目は、円形に近い。特に目頭が低いところにその特徴が顕れている。この2人はミリシタ参加組であり、下睫毛がついていることも含めて、グリマス組との差別化のために特徴的なデザインを採用したものと思われる。ただしこれらの特徴については、より定量的な手法(真円度の計測など)を用いて評価すべきである。
カードの目のデザインにバリエーションがあるのかを確認した。春香を対象とし、2022年7月までに実装されたカードの目の画像を収集した。収集結果をに示す。収集結果から得られた知見を以下に示す。
SRカードのデザインがある時期を境にして変更されている理由については、SRカードのデザインをN・Rカードから差別化する要望が運営の途中で生じて、3周年(「CHALLENGE FOR GLOW-RY DAYS」)を期にSRのデザインをSSRに少し寄せたのではないかと想像する。
ミリシタの目のデザインを調査し、以下の知見を得た。
ミリシタの「目」の調査をおこない、一定の知見を得ることができたが、アイデンティティとしての目の特徴を掴むまでにはまだまだ遠い段階である。近日中に実装されるペアガシャで髪の色が変更されたら、改めて目や髪のデザインが及ぼす影響について再考してみたい。
本資料ではアイドルマスターミリオンライブシアターデイズの画像を多数用いています。それらの画像の著作権はBNEI社にあります。